2021.4.5 日本経済新聞|広がるか「マルチワーカー」 過疎地支援の新制度始動(会員限定)

飯古定置の笹鹿さん

「ジオパークでの暮らし方」は、隠岐ユネスコ世界ジオパークである隠岐諸島のひとつ、海士町で働いている人にインタビューをして、その人の職場の様子や海士町での暮らしを垣間見るカテゴリーです。

自己紹介をお願いします

飯古建設(有)定置網事業部の笹鹿岳志です。2012年に家族で海士町に移住してきました。前職は国語教師でしたが、新しいことに挑戦してみようと思い、定置網漁師になりました。

写真:太田章彦

どんな職場ですか?

1221年、承久の乱に敗れ、隠岐へ配流となった後鳥羽上皇が最初に御到着された崎港が私たちの基地です。その目の前の海に漁を行う定置網が設置されています。定置網事業は、定まった場所に網を設置し、魚を待ち受ける「待ちの漁業」と言われます。マクロ、ミクロの自然環境の変化に影響されますが、その中で網の管理を徹底し、できるだけ多くの魚を獲ること、さらには獲った魚を高く売ることを目指し、6次産業も視野に入れつつ、鋭意努力、邁進しています。

写真:太田章彦

いろんな魚と出会える

季節ごとに入って欲しい魚はいますが、隠岐の豊かな自然環境の中で多種多様な魚が回遊しており、どんな魚が網に入っているのか分かりません。ワクワクの毎日です。時には全国ニュースになるほどの珍しい魚も入網します。

知恵と発想力と瞬発力が試されます

状況が目まぐるしく変わる自然が相手、しかも不安定な海の上。魚の入る網は海の中で、船からは全貌が見えません。様々なアクシデントは日常茶飯事です。しかし神は乗り越えられる試練しか与えません。全集中の呼吸で問題解決!難関をクリアした後の達成感はひとしおです。

チームワーク

上にも述べたように、アクシデントを含め、日々いろいろなことが起こります。海上は危険ですからその対応にはスピードと正確性が求められます。一人なら決して「出来ないこと」を従業員全員の心技体を総動員して「出来ること」にします。エンジン音もうるさい船上ではアイコンタクトや相手の動きを見て、求められている次の行動を取ります。陸上での網仕事も同じように協力して取り組みます。

写真:太田章彦

従業員の出自

現在、従業員は9名で全員がIターン、しかも元から漁師はゼロ(一人新卒の生え抜きがいますが…)で、みんな様々な職種を経てここにやってきました。漁師としての経験は少ないかもしれませんが、それをカバーする様々な能力を持っています。お互いの得意分野を生かすことで、しばしば化学反応が生じます。

笹鹿さんの仕事

6:00
出勤
出航、漁、帰港、水揚げ、選別、出荷など。

出荷が早く終われば、その後網修理など陸仕事をします。

また、定置網は網のメンテナンスが最重要課題です。それに関わる沖仕事、陸仕事は、ここに書ききれないほどたくさんあります。漁をしないでこちらがメインになることもしばしば。陰の努力があってこその大漁祈願です。

14:00
退勤
基本的に7時間勤務ですが、場合によっては残業、休日振替出勤もあります。
写真:太田章彦

休日の過ごし方

仕事が早く始まる分、早く終わるので平日午後も割と自由に使えます。入社後、数年は疲れ切って、帰ったらバタンキューでしたが、今はコーヒーを飲みながら読書をしたり、持ち帰った魚で晩ごはんの一品を作ったりして、家族の帰りを待っています。休日は、所属する短歌会の集まりや、絵本の読み聞かせグループのおはなし会に参加、あとは家で家族とのんびりと過ごすことが多いです。

職場の好きな場所

日の出の時間帯です。

写真:太田章彦

場所は港であったり、海の上での移動中であったり、漁の最中であったりしますが、とにかく季節によっても、天候によっても、毎朝毎朝、全く違った表情を見せてくれます。美しいです。これだけでも「漁師になってよかったぁ〜♪」と思えます。

写真:太田章彦

参考 飯古建設有限会社hanko-kensetsu.com 参考 飯古定置facebook.com